西伊豆地域の林業
静岡県の県土に占める森林率は64%が、西伊豆地域の森林率は87%と高い数値となっています。県西部天竜川流域の「天竜スギ」は日本三大人工美林のひとつであり林業の盛んな地域です。県中部の安倍川流域は「オクシズ材」として、県東部の富士川流域は「富士ヒノキ」として静岡県の林業は流域ごとにブランドを持ち川上から川下へとサプライチェーンでつながり発展してきました。
一方、県東部に位置する伊豆地域は流域としてのまとまりはなく、林業地というよりは薪炭材を海運で運び栄えていた歴史からも林業地としての発展は途上段階で、交通路網や市場までの距離が遠い点は他の流域に比べて有利性に乏しいのが現状です。
森林の現況は薪炭林を生産していた雑木林と戦後に改植された人工林がモザイク状に配置されており、雑木林は炭焼きが行われず大径化し、人工林は伐期を迎えた齢級が多いものの作業道の設置が困難な箇所が多く、所有形態は細分化しており、山林を所有されている方も県外の方が多いことから施業集約化が進まず、高性能林業機械の活用による効率的な施業を実施できる森林は限られています。
人工林の効率的な施業が課題であることと同時に、伊豆半島は観光地であり、海岸線は国立公園の指定を受けている箇所も多く広葉樹の景観整備や活用も課題となっています。